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私に対する懲戒処分について

私に対する懲戒処分について

私は平成24年4月12日、東京弁護士会より業務停止1年の懲戒処分を受け、これを不服とした私は日弁連への審査請求、東京高裁への出訴などを行いましたが、残念ながら事実誤認を認めてもらうことはできず、処分は確定しました。
処分の理由は以下のようなものです。すなわち、依頼者所有の時価3,500万円の土地を、友人の代理人として300万円で仮装譲渡し、事態を十分理解していない依頼者の多大な損失のもとに友人の利益を図ったということです。


ここには3つの間違いがあります。

第一に、たしかに問題の土地は更地価格では3,500万円でしたが、上に建物が建っていれば時価は3割程度に落ちるというのは不動産の常識で、時価約1,000万円を超えるということはありえません。ましてや、その建物の取り壊しを要求していた事件であり、建物が係争物である「事件もの」ということで、依頼者が不動産屋を回りましたが最高でも500万円でしか買ってくれないということだったのです。つまり、時価は500万円なのです。依頼者は法廷でそう証言しましたが、裁判所は「信じられない」と証拠もなく一蹴しました。

第二に、仮装譲渡ではありません。本件土地は依頼者の弟が無償で亡き父から借りて建物を建てており、姉妹である依頼者には追い出す権限がありませんでしたが、譲渡して第三者の手にわたると、追い出すことができる事案だったのです。ですから、友人がこれを飼い受けて追い出せば、600万円程度の利益が出ることが見込まれたのですが、そのためには「真実の譲渡」でなければなりません。仮装ではだめなのです。

第三に、友人の代理人でもありませんでしたし、依頼者が事態を十分理解していないわけでもありませんでした。双方代理が懲戒理由になることは常識でしたので、売買契約は、当人同士で行い、私は席をはずしていました。また、売買代金300万円という金額は、僕と友人が話し合ってこれくらいのリスクならとれるだろうということで決めた金額ですが、不動産屋が提示した500万円という金額よりもたしかに低い金額です。私は、依頼者に「不動産屋に売っちゃえば?」と言いました。300万円を用意しないと遺留分減殺請求により土地の持ち分が弟に取られ、弟を追い出すことができなくなるからです。


しかし、依頼者は、親不孝だった弟を憎んでいました。「父の遺した土地に居てほしくない」――本音はここにあるようで、不動産屋に売ると弟に転売するだろうということを危惧していたように感じました。依頼者は底地買い業者の行動パターンを実によくわかっていました。友人が買うことで、依頼者は土地を失いますが、亡き父の残した土地に親不孝の弟が住みながら公租公課だけ毎年自分たちが払い続けるという不利益を免れることができたのです。依頼者は、それで満足だと言っていました。

そのほか、友人が土地を購入するにあたり私の妻から資金の融通を受け問題の土地に抵当権を設定したことが「交換価値の保有」であり係争物の譲受にあたるということも指摘されていますが、これは友人が底地買い業者のように相手方に土地を売るのを防ぐため、友人の売却行動をコントロールするためであり、依頼者のためのことです。私が依頼者からある意味土地を預かったようなもので、「交換価値の保有」であるのはたしかですが(実際保有しているのは私ではなく妻であり、友人と面識もあった妻は私とは別人格なのでそれもおかしいといったらおかしいのですが)、それでは一般に弁護士が依頼者から資金を預かるのも「交換価値の保有」ですが、それと本件とどう違うのか、なぜ本件では係争物の譲受にあたるのか、私にはまったくわかりません。


以上のような経緯で、平成25年4月12日まで業務停止とされ、経済的に非常に苦しい思いをしてきました。預かり金に手を出さなくて済んだのは、過払いバブルである程度の貯蓄があったからで、それも底付いてしまいました。
思えば、500万円では売らないと依頼者が言った時、依頼者を見捨てて敗訴し、依頼者が土地の持ち分を弟に取られ弟に住み続けられるのを放っておけば私は安泰でした。しかし、困っている、というか弟に怒っている依頼者を放っておくことは、僕にはできませんでした。

これからも、保身に走らず、依頼者の正当な利益を第一に、弁護士業務に取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。

平成25年4月27日  弁護士 佐藤文昭


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