「僕とプロデューサーは、プリモ・ビアー。飲めないカメラマンはジンジャエール。
そして、サンディは白ワインのオン・ザ・ロックだった。
ストレート・グラスに氷をひとつかみ入れる。そこへ白ワインを注いだ。
意外そうな顔をしてる僕らを、逆に驚いた顔でサンディは見た。いつも、そうして飲んでいるんだろう。
『ワインのオン・ザ・ロックか・・・・・・』
と言う僕に、
『これならぬるくならないし、適当に薄まるから酔っぱらわないしね』
とサンディ。二コリと白い歯を見せた。その金髪のロング・ヘアーが、海からの風にフワリと揺れた。
ワインのロックは、それ以来、ロケ隊の間で大流行した。
僕は大切なことをサンディから教わったような気がした。
ワンピースにテニスシューズ。そして、ワインに氷・・・・・・。
常識的に言えばおかしくても、本人がよければ、それでいいのだ。本人がそれを快適だと心の底から感じていれば、それがサマになってしまうのだ。
ドレスアップの良い意味での対称語である<ドレスダウン>という言葉を、僕はふと思い浮かべていた。」
(喜多嶋隆「ドレスダウン」)
今日は渋谷法曹会という、渋谷区在住の弁護士の懇親会に出てきた。
渋谷法曹会は渋谷区からの区民法律相談を請け負っているので、区役所からも課長以下3人の広報広聴担当者がお越しになっていておどろいたのだが、まあそれはいいとして、飲み放題と言っても品数が少なく、焼酎は大学入学時のトラウマから飲めない僕としては、ビールの後は日本酒といきたかったのだが、熱燗しかメニューにない。
そこで、サンディにならい、ワインではないが、日本酒のオン・ザ・ロックを味わわせていただくことにした。
これは意外といい。
最後に初めての参加者に自己紹介を求められて、「短パンにTシャツで法廷に現れる人誰?と聞けばだいたい特定できる佐藤文昭です。今日は宗旨替えをしてワイシャツにスラックスですが、裸足はそのままです。喜多嶋隆の小説が好きで、アロハにビーチサンダルでオフィス街を歩く人生観が好きです。」
と自己紹介した。
実際、喜多嶋隆の小説は、ワンパターンな展開の小説を大量生産されているのであるが、ところどころ、僕の価値観にジャストミートする表現がある。
裸足じゃ依頼者に評判悪いと思いますよ、と言ってくれた弁護士もいたが、幸い、そういう依頼者を断ることができる程度に繁盛できている。感謝。