「焼けるタイヤの臭いがしてきた 時速180Km
車の外へ体を乗り出して挨拶おくろう
ゴホゴホと咳込んで不満をまき散らし タフだったあの頃がちらつく
もっと飛ばして! 何か叫んで!
ここはつかの間アウトバーン 命が惜しいかい?
力がこもる たどりつきたい
しがみついてるMidnight 何が見える?
退屈にまぎれてた大事なものを置きざりにしたような気がする
もっと飛ばして! 何か叫んで!
命知らずのYoung Heart どこかで笑うよ
力がこもる 死ぬのはこわい
流れつかないDesaire 何が見える?」(「死ぬのはこわい」久松史奈)
僕が入学した東京大学では、クラスの2年生が1年生を連れて入学式前に合宿に行き、薄くなりがちなクラスのつながりを深めるという慣習が、当時はあった。いまもあると思う。
僕らが1年生のとき、伊豆大島に行った。
ママチャリで伊豆大島一周をした。きつかった。ワンブロック歩くだけでもう息が上がる今の僕には間違いなく、無理だ。
夜は、酒を飲まされた。
大学までお酒を飲んだことがない人なんているとは信じられないだろうけど、いるんだ、と2年生のオリエンテーター長は言った。そうか、僕の存在は信じられないものなのか。
コンパで酒を注がれたとき、「未成年ですので」と断ったという鴨志田君はもっと信じられない存在だろう。
そして、ウィスキーを一本一気飲みさせられたりとかして、口から泡を吹いて倒れる人が続出した。
オリ長は、冷静に一人一人の様子を見て、こいつはほっといて大丈夫、こいつは救急車、と的確に判定していった。
僕らが2年生のとき、山中湖に行った。
もう2年生なので、おおかたが運転免許を取りたてで、何か理由をつけては車を運転したがった。
オリ合宿なんて、運転の最大の見せ場ではないか。
まず何台かに分乗して下見に行った。
あおったり、幅寄せをしたりするのはまだいい方。
まがりくねって対向車の見えない追い越し禁止の片側一車線の山道を、一台が追い越しにかかり、追いこされる側もスピードを上げてそれに応えた。
追い越し車の中では、「やめてーーーー!!!」という叫び声が上がった。
対向車がもし来ていたら、僕たちの死亡記事が新聞の社会面にでていただろう。
その運転をしていた松本君は、ある日の夜中環状8号線を走っているとき、急にスイッチが入って、アクセルをやたらと踏み始めた。
東京にお住みの方はご存じだろうが、環8は制限速度が40キロだ。
松本君は車がキンコンキンコン言い出してもなおアクセルを踏み続け、リミットの180をだすとようやく満足して速度を落とした。
その松本君も、いまは司法修習生で、今年弁護士になる。
法曹人口の拡大は、問題のある弁護士を生み出している。← 一般論