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恋人たちの時刻

「表通りから路地に入りこむと、両側にはホテルやトルコが並んでいた。さらにその先には屋台を装った店が軒をつらねた一角があり、屋台団地と呼ばれて、娼婦のたまり場だった。通りかかる男の姿をみつけると、屋台の窓から顔をのぞかせた娼婦たちは、『彼氏、彼氏』と低く抑えた声で呼びかけてくる。凍てついた雪の夜にこの『カレシ、カレシ』と呼ぶ声を聞くと、この世でいちばん哀しい生き物の鳴き声のようにおもえる。
洸治たちが、雪の路地に入りこむとすぐ、両側の店々の窓から女たちが顔をだして『カレシ、カレシ』と呼びかける合唱が起こった。その声を聞くと、洸治はあがってしまい、女たちの眼から逃れられればどの店だっていいという気になった。窓からのぞかせている女の容貌を識別し、女を選び出せるのは、足繁くこの界隈に通ってくる男だけにできる芸当であったかもしれない。」(寺久保友哉「翳の女」)

中国人の女性と結婚している人から、妻が行方不明になったと相談を受けた。
一応離婚相談なのだが、本当は愛しているので離婚したくないという。
知り合ったきっかけは結婚相談所。
妻の妹は新宿に住んでいるが、一度訪れたら警察を呼ばれたという。
妻の母はチワン自治区に住んでいて、電話番号は分かるという。
そこで、歌舞伎町の中国系パブに連れて行き、中国人の女の子に電話をかけてもらった。
いわく、「お母さんは日本にいる」
「日本人の配偶者等」の家族滞在ビザでしょう。
そして妻の姉は電話に出んわ。

妻もまた歌舞伎町の中国系パブでホステスをしていたという。
一緒に暮らしていたの?と聞くと「限定的には」と彼は答えた。
「限定的には、ってどういう意味?」
「ビザの更新の前後には帰ってくるんです。」
ママが笑った。「そりゃ偽装結婚だよ。ここらへんの中国人はみんなそうさ。あなたが死にそうで保険金が入るから署名がいるって電話すれば飛んで帰ってくるさ。」
今夜、その妻が勤めていた中国系パブが「売り」をやっているか確認するためにもう一度歌舞伎町に行きます。
二日連続で飲み続けて、ちょっと具合が悪い。

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