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ブログ 2008年9月アーカイブ

恋人たちの時刻

「表通りから路地に入りこむと、両側にはホテルやトルコが並んでいた。さらにその先には屋台を装った店が軒をつらねた一角があり、屋台団地と呼ばれて、娼婦のたまり場だった。通りかかる男の姿をみつけると、屋台の窓から顔をのぞかせた娼婦たちは、『彼氏、彼氏』と低く抑えた声で呼びかけてくる。凍てついた雪の夜にこの『カレシ、カレシ』と呼ぶ声を聞くと、この世でいちばん哀しい生き物の鳴き声のようにおもえる。
洸治たちが、雪の路地に入りこむとすぐ、両側の店々の窓から女たちが顔をだして『カレシ、カレシ』と呼びかける合唱が起こった。その声を聞くと、洸治はあがってしまい、女たちの眼から逃れられればどの店だっていいという気になった。窓からのぞかせている女の容貌を識別し、女を選び出せるのは、足繁くこの界隈に通ってくる男だけにできる芸当であったかもしれない。」(寺久保友哉「翳の女」)

中国人の女性と結婚している人から、妻が行方不明になったと相談を受けた。
一応離婚相談なのだが、本当は愛しているので離婚したくないという。
知り合ったきっかけは結婚相談所。
妻の妹は新宿に住んでいるが、一度訪れたら警察を呼ばれたという。
妻の母はチワン自治区に住んでいて、電話番号は分かるという。
そこで、歌舞伎町の中国系パブに連れて行き、中国人の女の子に電話をかけてもらった。
いわく、「お母さんは日本にいる」
「日本人の配偶者等」の家族滞在ビザでしょう。
そして妻の姉は電話に出んわ。

妻もまた歌舞伎町の中国系パブでホステスをしていたという。
一緒に暮らしていたの?と聞くと「限定的には」と彼は答えた。
「限定的には、ってどういう意味?」
「ビザの更新の前後には帰ってくるんです。」
ママが笑った。「そりゃ偽装結婚だよ。ここらへんの中国人はみんなそうさ。あなたが死にそうで保険金が入るから署名がいるって電話すれば飛んで帰ってくるさ。」
今夜、その妻が勤めていた中国系パブが「売り」をやっているか確認するためにもう一度歌舞伎町に行きます。
二日連続で飲み続けて、ちょっと具合が悪い。

政治家

「啓蒙は低級党だけじゃ暗い。 Where is your Paradise? It's better on my side.寄らば大樹の陰のように。
営利議員だけのシンパサイズ 潤う手にマーチャンダイズ 受ける法の網はどうしよう
危機議員たちのパラダイス よに問う日のアドバイス うかる前の策は御苦労
おれはラッキー 知れずハッピー 令嬢抱いてのほほん」
(「政治家」サザンオールスターズ)

麻生政権が発足しました。大久保利通から数えて五世議員だそうで、鈴木善幸元首相の娘さんを抱いた時も、「おれはラッキー 知れずハッピー」なんて思っていたのでしょうか。
小泉流ポピュリズムにもろに影響されたように、今の日本人はまだ、啓蒙されることを必要としています。社会思想がまったく発達していません。
法は、社会があってこそあるもの。
そこで、社会思想、経済思想についてペーパーをまとめたのですが、修士論文としては不合格となりました(この件については、「演習授業がなかった」ことを理由に一橋大学と村上政博教授を相手取って訴訟中ですので、いずれご報告することになるかと思います。)
利権族だけがチルドレンにシンパシーを感じ、チルドレンは、一生懸命「受かる前の策」を練っているというのが今の状況でしょうか。

そうそう、福田首相の辞任直前、福田首相のイラストに「私はあなたとは違うんです」と書いたTシャツがおお売れだとかで、僕も1枚買いました。
これを着て井口裁判官の裁判に出るとなかなかシュールだ。

オリビアを聴きながら

「出会ったころは こんな日が来るとは思わずにいた
Making good things better いいえすんだこと
時を重ねただけ 疲れ果てたあなた 私の幻を愛したの」(「オリビアを聴きながら」杏里)

久々に家に帰ってみると、ソファにトドが寝ていた。
目をこすってよく見直してみると、風呂上がりで裸体の、バストとウェストが同じくらい豊満な、妻だった。

今日子供の運動会があった。
お弁当は、コンビニおにぎり。

こんな日が来るとは思わずにいた。

リズム

「心の中で、リズムをとるんだ」
真ちゃんがクルンとふりむく。
「おれのリズム。まわりの音なんて関係ない、おれだけのリズムをとりもどすんだ。心をからっぽにして、ワン、トゥー、スリー、ワン、トゥー、スリー、・・・って拍子をとる。そうすると不思議に楽になって・・・」
「それで?」
「また思うように歌えるようになるんだ」(森絵都「リ・ズ・ム」)

「おれだけのリズム」をとるのが、なんて難しい世の中なんだろう。
予定は待ってくれない。
予定は僕の都合を聞いてくれない。
息をつきたくても、次の予定がある。
ワン、トゥー、スリーと気を静めている間に、机の上には後から後から記録が積まれていく。

My Generation

「『ボクはフィンガーチョコの銀紙を剥がすのが趣味なんだョ』
『やな趣味だね』テディーにチョコを返してやった。
『これが好きで、フィンガーチョコの屋台を始めたんだ。ホントは、錆びたペンキの皮を剥がすのが一番好きなんだけど、そんな仕事、見当たらないし。』
『ペンキ屋になればいいじゃん』 『ペンキを塗るのは好きでも何でもない。あの、古くなった皮を剥がすのが好きなの。例えば、ホラ、学校の上り棒とか、フェンスのペンキ・・・何かそういうの持ってない?』」
(伊藤たかみ「17歳のヒット・パレード(B面)」)

学校の壁の塗装が古くなると、浮き出てひびが入ってましたよね。
あれを一枚一枚はがしながら授業が終わるのを待つのが好きだった17歳のころ。
よっかかりながら、こそこそと、びりびりと。
もうそういう古い校舎にいく縁はなくなりました。
僕のヒットパレードの「B面」です。

FUNNY MONEY

「せわしない世間がはじきだすMaterial World
つまらないPride 桁はずれのPrice

It's so funny, I don't care about money
階段を登らされ
Jumping in the race, Looking for a place 豊かな"POP OF THE LIFE"」
(「FUNNY MONEY」personz)


はじめて、服装が不適切だと裁判官から指摘された。
5年目にしてお初だ。
刑事裁判員制度模擬裁判でご一緒した裁判官なので、言いやすかったのかもしれない。


袈裟を着ないでお経をあげる坊主がどこにいる、というわけですかな。
刑事の裁判は、儀式に近いところがあるので、そういう見解もわからないではない。


でも、考えてみると、お経は参列者みんなが唱えているもの。
坊主の袈裟は、お布施を取るための道具にすぎないのじゃないか?


東京はまだしも、全国的には、弁護士の敷居はとても高い、ようだ。
法テラスを利用した弁護士費用すら高い、という意見を司法書士があるメーリングリストで言っていた。


さすがに法テラス程度の費用はいただかないと事務所を維持できないが、弁護士は袈裟を脱いで、お布施を取るのをやめてもいいのではないかと思う。


「高度な専門的知識」を用いた頭脳労働、なんて嘘っぱちだ。
ガテン系の肉体労働である(特に眼筋を使う)。ただ、ちょっと国語力が必要なだけだ。


Restless Sunday

「Asphalt 灰色の街並み High speeder 眠らないBabylonyan
Search light に浮かび消えてなりやまぬnoiseにうかれている


MONDAY TUESDAY WEDNESDAY THURSDAY FRIDAY SATURDAY
素通りしてゆく日曜日
仕事に追われて眠るだけ 息つくヒマさえない7days
"RESTLESS SUNDAY"


色どりなくした日曜日
愛することさえ置き去りで 夢見るヒマさえない7days」(「RESTLESS SUNDAY」personz)


今日は刑事上告事件の上告趣意書提出期限前の追い込みで記録読みに没頭したのに加えて、当番弁護の待機日で、素通りしてはくれませんでした。


もちろん、刑事事件は、好きでやっている(というか、憲法上弁護士にしかできないとされていることをやるのは弁護士の当然の使命だろうと思ってやっている)のですが、

だいたい当番弁護といっても事務所や自宅周辺の警察署に出動するよう配慮してくれるので、そんなに負担ではないのです。


しかし、今日は来てしまいました。最も来てほしくない警察署の一つ、南千住警察署から。
東京の反対側じゃないですか。乗継も面倒だし、府中か立川のほうが楽ですよ。


罪名も関税法違反。
何それ?


食べれる?と聞きたくなるくらいよくわからん法律で、あの高度にマニアックな税法の条文を読み解くのですか?


どんな事件だろう。(以下いつか。)


いつか大人になったら・・・

「いつの間にか、一年の間隔はどんどん短くなっていく。だいぶ前からそのことに気付いてはいた。今年は去年よりも短かった。きっと来年は今年より短いだろう。」
(鷺沢萠「スタイリッシュ・キッズ」)
 

もう大人になっちゃったんだなあ。
 

司法修習修了十周年の記念旅行で、熱海に、行かなかった。
司法修習生のころは弁護士10年生なんてはるかに先輩で、そんなものに自分がなるとはゆめゆめ思ってもいなかった。
24歳だった僕は、34歳になった。
そのとき好きだった女の子とは、別の女の子と結婚した。
子供はもう二人とも小学生になる。
みんな徐々に一人前の弁護士になるにつれ、クラスのメーリングリストも投稿する人がいなくなった。
10年生になったことを、確認したくなかった。
 

大学のクラスメートも似たようなものだ。
みな家庭を持ち、役職を持ち、クラスで集まって飲んで騒ぐこともなくなった。
集まらない方がいいのかもしれないとも思う。
あの頃はよかったと、いまがよくないかのことを感じたくはない。


いいかげんに片付けて美しく暮らす

「それにしてもいったいいつ、よいかげん、が、いいかげん、という言葉に変わったのだろう。程よく、というときれいに響くが、実際、おおざっぱとか、適当、という意味である。でも、それくらいが、いちばんよいかげんなのだということを、誰かが気がついたからにちがいない。
そもそもこの言葉には、OK、OK、大丈夫という肯定する意識がいる。
そうでなければ、これでよしにはならないからだ。
完璧主義でいるとき、もうちょっと、うーん、ここが気に入らないと、
ダメだしをするから、きりがないのだ。
いいかげん、というのは、ポシティブな思考だと気がつくのである。」
(岩里祐穂「いいかげんに片付けて美しく暮らす」)

沖縄には「てーげー」という言葉があります。東国原知事のいう宮崎の「てげてげ」も同じでしょう。
意味は、いい加減=「いい」加減という意味です。

パーフェクトを求めて、やたらいらない時間を使うより、てーげーに物事を進め、必要に応じて適当に(適当というのは適切妥当という意味である。)対応するという柔軟さがないといけないと思います。

昔「社会のマクドナルド化」ということが言われましたが、マニュアルどおりに完璧に、という発想では、どうしても拾いきれないファジイな部分もあると思うのです。
人間だもの。


蛍星

「手を広げたら欲張るだけで いらないものまでも掴む
両手ですくう それくらいでいい
小さく光るもの 逃がさずに 落とさずに 蛍星」
(「蛍星」元ちとせ)


選択と集中、ビジネス用語で言うとそんなところだろうか。
経営資源の投入先を選択し、集中的に資本投下する、選択と集中。
弁護士の世界は無縁かというと、そうでもない。
仕事に精を出しすぎたら、調べものにもきりがなくなって、本筋と関係のない知識ばかりが頭に入り、書面の「言いたいこと」がよくわからなくなってしまうことがある。


書面は短い方がいい。
答案もまたしかり。
小さく光るものを、逃がさず落とさずにしていれば。


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