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ぼくたちの7時間戦争

どうしても今日中に相談がしたい、という依頼があり、夜の23時30分から相談を受けました。
その人は道路での露店を営んでおり、従業員が、何の警告もなしに、いきなり逮捕されてしまったと。

許可を得ずに道路で店を開く行為は、道路交通法で3月以下の懲役または5万円以下の罰金と定められており、急ブレーキの禁止と同じ法定刑の、はっきりいって微罪です。
ふつうは、何度か警告があり、それに従わないときに逮捕されるのが通例だそうなのですが。

また、その場所には数軒の露店が出ており、一斉摘発ならまだ理解できますが、その人だけが逮捕されたそうなのです。
早速夜中の0時過ぎに警察に行って弁護人選任届をとりました。
本人いわく、翌日裁判所に呼ばれていて、勾留質問だとか。
勾留質問の結果逃亡・証拠隠滅のおそれありと判断されれば、10日間勾留されてしまいます。

翌日朝10時から、戦争は始りました。
まず東京地裁令状部(刑事14部)に電話をかけ、被疑者との面接前に勾留担当裁判官との面接を約束しました。
そして、話し合いをしたところ、          
・裁判官もぶっちゃけ勾留の必要性に疑問を感じないではないが、いままで10回以上も交通違反での呼び出しに応じておらず、逃亡の恐れを否定できない
・警察からの呼び出しに必ず出頭させるという身柄引き受け人がいれば、勾留しないとの決定も考える
・しかし記録を見ると父親はほとんど中国にいるらしく身柄を引き受けられないのではないか
ということでした。
裁判官に携帯電話の番号を教え、お互い裁判の合間に連絡を密に取り合うことを約束しました。
早速本人と面会して聞いたところ、1回はたしかに出頭しなかったが、理由は警察に電話したとのこと、あとは引っ越しの際にまぎれたのではないかということ、母親の携帯と彼女の携帯は分かるが父の携帯は自分の携帯のメモリを見ないとわからないこと、などを言っていました。
まずは以上のことを裁判官に報告。

そしてひたすら母親に電話するも、出ず。
彼女に電話するも、父親の連絡先は分からず、周囲の人にあたってみるとのこと
雇い主は履歴書も何も貰わずに雇ったのでわからないとのこと
警察署に携帯電話の引き渡しを求めるも、本人からの依頼が必要なので翌日以降になるとのこと

裁判官に報告し、彼女が身元を引き受けるのではだめかと聞いたら、しばらく検討のうえ、駄目だとの返事。

その後、裁判官から、本人と面会した結果、父親は一か月の半分以上は日本に住んでいるようなので、母親がだめなら父親が身元を引き受ける旨裁判所に電話を一本入れれば 釈放すると言われました。
しかし、その父親の電話番号がわからない、と報告
裁判官からも、警察署に父親の電話番号を調べて報告するよう照会をかけてくれました。

裁判官からは、14時50分までに連絡が取れなければ勾留するので、そのあと連絡をとって準抗告で勾留取り消しを請求するように、と期限が区切られました。
でもなにも手を出せないまま、タイムアウト。

と思っていたら裁判官から携帯に電話があり、警察から父親の電話番号の回答があり、父親と連絡が取れたので釈放するということでした。
午後17時

裁判官と20回以上にわたり連絡をとりあった「戦争」は、検察官の勾留請求却下という勝利で「終戦」しました。

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